琉球識名院について 光明寺 沖縄別院 琉球識名院が2022年2月に建立されます。琉球識名院は沖縄最大級の木造建築寺院としても注目されています。和風・琉球風それぞれの様式が融合した新たな寺院は沖縄に新しい和みの場と新しい供養の場を提供します。 沖縄開教への想い 仏さまの智恵は、普く三千大千世界を隅々まで照らし、誰一人捨てることなく救い取るとされています。 それは、生者・死者の隔てなく、誰もが同じように救われるという意味です。 その智恵に触れた者は、仏さまと同じ境地に至ります。そして心の迷いは打ち消えて、慈悲の心が生まれるのです。 それゆえ、仏教が繁盛する土地では、人々の心が穏やかになり、争いはなくなり、ご先祖さまに守られ幸せに暮らすことができると言われます。 この素晴らしい仏教を沖縄の皆様に伝えるために、私たちは那覇市に新たな寺院を建立することにいたしました。 永代にわたって、皆様のご先祖さまを供養し、仏教に触れる場所を担っていきたいと思います。 識名という土地への想い 琉球王朝の迎賓館であった識名園があるこの土地は、沖縄の歴史を紐解くのにとても重要な場所のひとつです。 そして現代においても、多くのお墓が集まり、人々にとってご先祖さまを敬う尊い場所です。 私たちは寺院を設計するに当たって、沖縄に相応しい外観を持った本堂や山門など、何より地域との調和を大切にいたしました。 この地に仏教の火を灯し、地域に馴染み、末永く皆さまに親しまれる寺院となることを目指します。 沖縄最大級の木造建築寺院 より恒久的にその地に存在できるものでありたい。との願いから本堂は木造建築といたしました。 約1,300年前に建立され現在も残る木造建築物「奈良斑鳩の法隆寺」のように、木を適材適所に組み合わせて大切に使えば、とても永く保つことができます。 使うとともに風合いが増し風格も備わるのも木造ならではのものと考えます。 皆様に愛され、共に齢を重ね、地域に永く根付く寺院となることを願い本堂を木造といたしました。 材料へのこだわり 現在では大径の樹木は日本だけでなく殆どの国で存在しなくなりました。また、伐採後も十分に自然乾燥させないと割れてしまったり大きく反ったりするために直ぐには使えません。 木造建築とするには不可欠な樹木を世界中が視野に探していたところ、非常に偶然にも 「想定樹齢1,000年以上、直径1,000㎜級の大変貴重なの米ヒバ(カナダ産檜)」が奈良の吉野に16年間保管されていることが判明し、当寺院建立に使用させていただくことに理解をいただきました。この無垢檜は香りが良いだけでなく、ヒノキチオールというシロアリ等の害虫に対する抗菌効果が非常に高い成分が含まれており、腐りにくく耐久性が大変に優れています。まさに最高の樹木と巡り合うことができました。 建築設計の趣旨 南に識名園、北には首里城という世界遺産に囲まれた「識名歴史エリア」に位置する当地は琉球王朝の時代から琉球松並木の真珠道が通る風光明媚な場所であったと伝えられております。 南側の山門をくぐると、水盤越しに本堂を仰ぎ見ることができます。圧迫感を与えない寄棟形式の赤瓦葺きの屋根には黄金色の鴟尾が置かれ、水盤にはこの本堂や碧空が映り込むように設計しました。 拝所は赤瓦とともに琉球石灰岩の石壁とし優しく落ち着いた意匠としています。 庭園には緑豊かな識名園と連続する場所として、植栽樹種には琉球松やガジュマル等の沖縄産樹木を配し、また舗装や囲い塀にも琉球石灰岩を使用し、本寺院への信者や参拝者はもとより、識名園への来訪者が気軽に立ち寄ることができる憩いの場を計画しています。